マレーシア大学・短大・大学院留学ガイド

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日本ではまだあまり知られていませんが、マレーシアはアジアにおける高等教育(大学&短大等)分野の留学大国にとして、世界100ヵ国以上から年間10万人近い留学生を受け入れています。人気の理由は、①英語がほぼすべての大学&短大で共通言語となっていること、②学費、生活費の合計が年間約140万円と格安なこと、③マレーシアをステップとして最終的に欧米豪加の大学に編入するシステムが発達していること、④マレーシアは地理的にも文化的にも、ASEAN、中国、インド、イスラム等の巨大市場のゲートウェイ(入口)にあたり、マレーシアでの勉強がその後のビジネスに直結しやすいこと、などが挙げられます。

マレーシアの大学の種類

公立大学

現在マレーシアにはマラヤ大学(UM)、プトラ大学(UPM)など約30の公立大学が存在します。ただしこれらは主にローカル学生(特にマレー系)が主体で多くの授業がマレー語で行われるので日本人が正規留学の対象とするにはあまり適していません。

私立大学

現在マレーシアには33の私立大学が存在します。どこも留学生の受け入れには積極的で、様々な学部があり合格基準や英語基準もさほど高くないため、日本人の留学先として中心に位置づけられます。また先進国の提携大学への編入制度も充実していますので、これら大学への編入や同時学位取得を目指す場合もマレーシアの私立大学が入口となります。

海外大学分校

現在マレーシアには5校の海外大学マレーシア分校が存在します。クアラルンプール近郊では、豪モナーシュ大学、英ノッティンガム大学、中アモイ大学が有名です。これら大学は他のマレーシア私立大学に比べ、比較的高い高校成績および英語基準が要求されます。(英語力は入学後、学内の英語コースでも対応可能。)ただ、学費は本校に比べ半額未満と割安感があり、インターキャンパス制度もありますので、英語力や学業成績の比較的高い生徒、あるいは日本またはマレーシアのインター校で教育を受けた生徒、あるいは現在日本の大学に在籍しているが、大学変更希望を希望する大学生にとっては狙い目と言えます。

マレーシアの大学の学部・コース

英国支配が長かったマレーシアでは、大学の学位制度は基本的に英国の制度と類似しています。主として下記のコースが存在します。

ファンデーション(Foundation)コース

日本にはない通常1年間の基礎課程です。通常マレーシアの教育システムや英国系カリキュラムのインター校では、高校(セカンダリースクール)まで11年教育となっており、大学(バチェラー、下記参照)の入学資格の12年教育に足りません。そこで1年間の基礎コースを履修してバチェラーコースへ編入します。基本的に日本の高校卒業者は、バチェラーコースの入学資格を満たしているので、通常ファンデーションの履修は不要ですが、バチェラーコースの合格基準を満たさない場合や、時間をかけて大学を卒業したい場合は、ファンデーションを受講することもあり得ます。(ただし一部の大学、学部ではバチェラー入学前に1年間のファンデーションの履修が義務付られています。)

ディプロマ(Diploma)コース

ディプロマは日本の「准学士課程」(短大卒業)に相当する学位です。ほとんどの場合、2年間で取得できる学位です。日本人学生が最終的にバチェラー(下記参照)の学位を目指す場合でも、英語力、学力に自信がない場合、あるいはバチェラーの合格基準に満たない場合、まずディプロマコースに入学し、その後バチェラーコースに編入するという方法もあり得ます。その場合、通常バチェラーコースの2年目から編入することになり、トータルの学習期間は文系で4年間となります。

バチェラー(Bachelor)またはディグリー(Degree)コース

Bachelor Degree(バチェラーディグリー)は、日本の「学士課程」(4年制大学卒業)に相当する学位で、単にDegree(ディグリー)とも言われます。マレーシアの私立大学の場合、通常、文系学部やIT系学部は3年、工学系学部は4年(医学部は5年)の履修で取得可能です。日本の高校卒業資格は、ほとんどのマレーシアの私立大学で直接バチェラーに進学できる資格とみなされています。

オーナーズ・ディグリー(Hons Degree)コース

オーナーズディグリーはバチェラーディグリーの一種ですが、通常のバチェラーより上級の学位で優等学位と訳されます。国によっては通常のバチェラーより履修期間も長くなる場合がありますが(例 +1年)、マレーシアの場合通常のバチェラーと同期間で取得できるため、大きな違いはないように思われます。

マスター(Master)コース

日本の大学院に相当する1.5年~2年間のコースです。日本の大学を卒業したが英語力も専門知識も身に付かなかった、という学生や社会人がマレーシアの大学院を志望する例が増えています。

英語集中コース(English Intensive Program)

通常マレーシアの学部コースに入学するためには、TOEFLやIELTSの一定の英語スコアを保有していることが条件になります。例えばTOEFLibtで80、IELTSで5.5などのスコアです。ただし、この水準をクリアしていない学生は、学部コース前に大学付属の「英語集中コース」の所定のレベルを完了(またはその後所定のIELTSレベルを取得)することを条件に、これら英語スコアの提出が免除されます。日本の高校卒業者のほとんどは、これら英語スコアを保有していないか、スコアがあっても合格水準を満たしていないため、学部コースの前に英語集中コースを受講するのが一般的です。


マレーシアの大学への進学パターン

下記図にあるように、通常日本の高校を卒業した場合、(一部の大学、学部を除いて)合格基準を満たせばマレーシアの大学の「バチェラーディグリーコース(学士コース)」へ直接進学することが可能です。
ただし、バチェラーの合格基準を満たせなかった場合、より条件がゆるい「ディプロマ」や「ファンデーション」を経て、バチェラーに進級することも可能です(どちらの場合も計4年の履修)。
なお、入学時点でTOEFLやIELTSの英語基準に達しない場合(またはスコアを保有していない場合)、学部コースの前に「英語集中コース」を受講することになります。そこで所定の学内レベルを完了(あるいは所定のIELTSスコアを取得)後、学部コースへ編入することが可能です。どの程度の期間英語コースを受講するか、個人差もありますが3ヶ月~半年程度が目安と言えます。
(下記「マレーシアの大学の選考基準」も参照。)

進学パターン進学パターン

なお、インターナショナルスクール(主として英国式カリキュラム)のセカンダリースクールを終了して大学へ進学する場合は、いわゆるプレUコース(AレベルコースやIBディプロマコース)あるいはファンデーションコースを受講後、バチェラーコースに編入することになります。(プレUコースは、インター校が提供する場合もあります。)

マレーシアの大学の海外大学提携・編入制度

ツイニングプログラム

マレーシアの私立大学が、海外のある大学と提携関係にあり、原則、前半をマレーシア、後半を海外提携校で勉強することにより、海外提携校の学位が取得できるというシステムです。提携校は主として英国と豪州の大学となります。
ツイニングプログラムは「マレーシアでの履修年数+提携校での履修年数」という表現を使い、「2+1」「1+2」「3+0」などと呼ばれます。「2+1」が最も一般的ですが、中には「3+0」というプログラムもあり、マレーシアでの履修だけで、海外提携校の学位が取得できる場合もあります。

【ツイニングプログラムの例】
HELP大学ビジネス系学部⇒英ロンドン大学(3+0)
HELP大学ビジネス系学部⇒豪クイーンズランド大学(2+1)
FTMSグローバルカレッジビジネス系学部⇒英アングリアラスキン大学(3+0)
セギ大学ビジネス系学部⇒英グリニッジ大学(3+0)
INTI大学ビジネス系学部⇒英ハートフォードシャー大学(3+0)
FTMSグローバルカレッジビIT系学部⇒英イーストロンドン大学(3+0)
その他多数

⇒ツイニングプログラムの学部を検索する

デュアル(ダブル)ディグリープログラム

ツイニングプログラムの取得学位が、あくまで海外提携校の学位であることに対し、デュアルディグリープログラムでは、マレーシアの大学と海外提携校の両校の学位を取得できることが特徴です。デュアルディグリーは、マレーシアでの履修だけで海外提携校の学位も取得できるという魅力的なシステムです。バチェラーコースだけでなく、マスターコースもデュアルディグリーになっている場合があり、マレーシアで1.5年勉強するだけで、英国などのマスターを取得できる場合があります。

【デュアルディグリーの例】
テイラーズ大学ビジネス系学部およびIT系学部&英ウエストイングランド大学(3年)
セギ大学ビジネス系学部&英アバータイ大学(3年)
APU大学ビジネス系およびIT系学部&英スタッフォードシャー大学(3年)
INTI大学ビジネス系学部&英ハートフォードシャー大学(3年)
サンウェイ大学ビジネス系学部&英ランカスター大学(3年)
その他多数

⇒デュアルディグリーの学部を検索する

Dual Degreeアジア太平洋大学と英Staffordshire UniversityのDual Degreeの例

クレジットトランスファープログラム

ADPコースパンフレットADPコースパンフレットマレーシアの私立大学での取得単位を海外提携校にトランスファー(移行)することができる制度です。
その代表格が、「米国大学編入制度」(ADP=American Degree Transfer Programme)で、前半2年をマレーシアで、後半2年を米国の大学で学習する(2+2)ことにより米国大学の学位を取得できるシステムです。米国以外にもカナダ、豪州、英国の大学が対象となる場合があります。
また、「2+2」以外に「1+3」、「1+4」(米国IVYリーグ大学)、「4+0」(マレーシアのみ)の場合もあります。

ADP編入先米国大学の例(TAILORSの場合)ADP編入先米国大学の例(TAYLORS大学ビジネスコースの場合)

なお、ツイニングおよびデュアルディグリーでは最初から特定の提携校とその学部が決まっているのに対し、ADPでは通常米国を主とした数多くの大学が選択肢となるのが特徴です。(希にツイニングのようにペアになっているADPもあります。)

ちなみに、米国の4年制大学へ編入する割安な方法として、米国の「コミュニティーカレッジ(コミカレ)」(2年)を経由する方法が知られていますが、マレーシアのADPを利用する手段は、留学費用をより圧縮することができる点で更に魅力的と言えます。

ツイニング、デュアルディグリー、ADPいずれの場合も、マレーシアでの割安な学費と生活費を活用しながら、先進国の大学の学位が取得できることが魅力です。

⇒ADPの学部を検索する

マレーシアの大学の入学時期

日本の大学のほとんどが4月入学なのに対し、マレーシアの大学はどこも年に2-3回入学可能な時期(Intakeと呼ばれる)があります。中には年に8回も入学可能な大学の学部があるほどです。

また英語のスコアが入学基準を満たしていない場合、学部コースに先立ち英語集中コースを受講するため、入学期は英語集中コースの開始日となることが一般的です。英語集中コースの開始日は、毎月設定されている大学も多くあります。

下記に例としてテイラーズ大学ビジネス学部のIntakeを紹介します。大学、学部、学科によってIntakeが異なりますので、受験する場合には事前に確認する必要があります。

Taylors Intakeテイラーズ大学ビジネス学部のIntake



マレーシアの大学の合格基準

日本の大学の多くが一斉テストを行いその点数を合否の大きな判断材料にするのに対し、今のところマレーシアの私立大学の入学要件としては、基本的に①日本の高等学校を卒業していること、②学校の成績表で一定のスコアを取得していること、の2点のみです。いわゆる入学試験はありません。

マレーシアの現地生徒や他国の留学生に対しては、かなり高い条件が要求されていますが、今のところ日本の学生に対しては、この2点のみが要件ですので、日本人は大変有利だと言えます。

なお、②の学校の成績ですが、当然学校や学部により要求スコアは変わってきますので一概に言えませんが、文系学部(ビジネスやホスピタリティー)であれば、平均スコアが3/5(5段階の3レベル)以上であれば、いずれかの主要大学に入学できる可能性はかなり大きいと言えます。理系学部ですと、加えて数学、理科科目のスコアも重視されます。

なお、今のところどの大学でも、日本の高校の難易度、偏差値、有名校かどうかなどは一切考慮せず、単純に成績のスコアのみで審査していると思われます。

「英語で授業するのに英語はできなくても大丈夫か?」と思われると思いますが、各大学には付属の「英語集中コース」があり、大学の要求する英語基準(例えばIELTSで5.5以上など)に達していないない生徒は、英語集中コースの受講を条件として入学は可能ですので最初から高い英語力が要求されるというわけではありません。なお、英語集中コースは、学校により3~6レベルのクラスで構成され、入学時の英語テストの結果により開始するレベルが決定されます。通常1レベルをクリアするのに、1-2カ月を要します。このシステムは、英語の会話に慣れていない日本人にとってはとてもありがたい制度と言えます。もちろん、入学前にできる限り英語力を上達させておくと、後が楽になるのは言うまでもありません。

また、ディグリー(大学相当)に比べディプロマ(短大相当)やファンデーション(基礎課程)の選考基準は通常低く設定されていますので、高校の学校成績や英語力が不十分な場合は、まずディプロマやファンデーションコースを目標にし、同コースに入学後、ディグリーコースに編入する方法も有益な一選択肢と考えられます。(いずれの場合も合計の履修期間は4年となります。)下記「ある大学のコース別の合格基準」および、上記の「マレーシアの大学への進学パターン」をご参照ください。

ある大学の学位コース別の合格基準(ビジネス系学部)
ファンデーション
(基礎課程、通常1年)
ディプロマ
(短大相当、通常2年)
バチェラーディグリー
(大学相当、通常3年)
高校の成績 平均で3/5(5段階評価の3以上) 平均で2/5(5段階評価の2以上) 平均で4/5(5段階評価の4以上)
英語スコア IELTS 5.5 IELTS 5.0 IELTS 6.0

上記の「英語スコア」は、TOEFLでも代用することが可能です。また、入学時に上記の英語基準を満たしていなくても(英語スコアがなくても)、大学付属の「英語集中コース」を受講することを条件に、入学は許可される場合がほとんどです。



有望学部例

マレーシアの大学も日本や他の先進国と同様、多数の学部選択肢がありますが、参考までに下記に今まで弊社での取り扱いの多かった学部をご紹介します。

ホスピタリティ(ホテル経営)、ツアリズム(観光)、カリナリー(料理芸術)学部

ホスピタリティホスピタリティ(ホテル経営)、ツアリズム(観光)、カリナリー(料理芸術)学部は、日本の学士号課程(4年制)ではあまり見かけない学部ですが、マレーシアのほとんどの大学で主要学部の一つとして提供されています。ホスピタリティは日本語では「おもてなし」と訳されますが、マレーシアでは主に「ホテル経営学」という理論・学問の意味で使用されています。カリナリー(料理芸術)も日本ではほとんど見かけませんが、マレーシアではひとつの立派な学士号として確立されています。
これら学部で学ぶ意味は、何と言ってもハラル(ハラール)というイスラム教の習慣をベースとしたホスピタリティを肌感覚で勉強できることです。これは、2020年東京五輪ビジネスを始め、急成長しているインバウンド観光ビジネスにも不可欠な知識、理論と言えます。欧米留学と差別化するという意味においてもマレーシアならではのオリジナリティのある選択肢です。

》ホスピタリティのススメもご参照ください。

ビジネス経営学部

ビジネスビジネス経営学部は、将来いかなる業種の職業についても必要となる理論、知識を提供しますので、まだ将来の具体的職業志望が決まっていない生徒にもおすすめの学部です。日本の大学の経済・経営・商学部と同様、いわゆる「つぶしの効く学部」と言えます。ほとんどのマレーシア私立大学にはビジネス経営系の学部がありますので、非常に選択肢の多い学部でもあります。

コンピュータ・IT学部

マレーシアは2020年に先進国入りをするという国家目標を掲げ、IT産業の振興をそのための一つの原動力とみなしています。そのための人材教育も盛んで、コンピュータIT系学部はどの大学でも人気学部の一つです。またコンピュータIT知識はどの国でも共通な普遍的知識ですので、将来の就職先は国や会社を選びません。日本には英語に堪能なIT技術者が少ない気がしますので、英語でIT高等教育を受ける価値は高いと考えられます。 

ADP(米大学編入学部)

ADP将来的に米国の大学を目指す学生にはもっとも適した学部です。多くの私立大学にADP(あるいはADTP)というコース(学部)があり、その中から更にビジネス、コンピューター、エンジニアリング等の学科を選択します。通常マレーシアの大学で2年間、米国の大学で2年間学習し、米国大学の学位を取得します。直接米国に留学するのに比べ、(当初2年間の)費用が割安になる、入学基準がゆるい、英語を段階的に学習できる、などのメリットがあります。
米国の他、カナダ、豪州、英国の大学も対象となる場合があります。




マレーシア大学留学の費用

マレーシアの大学への正規留学の費用(学費と生活費の合計)は、マレーシア教育省によると年間USD1,200(140万円、1ドル115円で換算)と試算されています。更に授業料の安い大学を選べばより低予算での留学が可能となります。

マレーシア大学留学の費用マレーシア大学留学の費用
出所:Education Malaysia Global Services HP


短期正規留学(休学留学)

上記のとおりマレーシアの私立大学の学部コースは、コースを終了する(通常3年間)ことを前提に設定されており、一部の協定交換留学を除いて短期(1年未満)の参加はあまり一般的ではありません。
ただし、通常の正規留学を「休学留学」に代用することも可能です。つまり正規の入学手続きで入学し、予定された期間終了後に退学という形をとります。マレーシアの大学は、入学金などもさほど高くないので、1年程度の短期留学でも大きなダメージにはなりません。また、大学によっては1年間限定の特別ビザを利用することも可能です。それにより費用や留学準備期間を更に圧縮することも可能です。

IELTSやTOEFLの英語のスコアを保有していない場合、留学期間の前半を英語学習に充てることになり、「英語研修+学部聴講」の留学が可能です。
休学(認定)留学の例はこちらをご覧ください。

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